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良き風土醸成の裏側で(私の履歴書ep11)

こんにちは。

モチベーションLAB所長です。

新会社「コカ・コーラウエストホールディングス株式会社」での勤務が始まりました。

徐々に福岡での新しい生活に慣れて、楽しくポジティブに感じていた裏側で、余計なことを言う人たちの姿もありました。

 

 

新たな勤務地

コカ・コーラウエストホールディングス株式会社 福岡本社」のオフィスは、キャナルシティ博多という複合型商業施設に隣接したビジネスセンタービルの5階にありました。

博多に単身赴任して、最初に住んだのは姪浜(めいのはま)という場所で、地下鉄・姪浜駅まで徒歩2分の好立地のマンションの一室を借りましたが、地下鉄を利用してオフィス最寄り駅の「中洲川端駅」まで約15分で、そこから川端商店街の中を歩いてオフィスまで約10分でしたので、ドアツードアでの通勤時間は約30分でした。

近畿コカ・コーラボトリングの本社(大阪府摂津市)勤務時代の通勤時間は約1時間20分だったことを考えると、1日1時間半以上(往復)が自由に使えることになります。

尤も、帰宅すれば炊事・洗濯・掃除などの時間が加わるので、時間的には相殺といったところでしょうか。



 

博多の街

勤務地のキャナルシティ博多は、地域最大の歓楽街「中洲」に隣接していて、繁華街「天神」までもタクシーで5~6分の距離です。

また、JR博多駅までは徒歩12~3分(今では地下鉄で2分)、さらに博多駅福岡空港は地下鉄で5分の利便性では申し分のない場所にありました。

このように博多(福岡)という街は全てがコンパクトに集約されていて、出張、帰省、飲食、買い物などの利便性がとても高い街でした。


さらにその後、JR博多駅キャナルシティ博多の間に新たに建設されたマンションに引っ越したので、通勤時間は10分程度となり、さらに利便性は高まりました。

特に中州から徒歩で自宅に帰れるので、自炊が減り、飲みに行く回数が増えるという悪循環にも繋がりました(笑)

川端商店街にある、魚屋さん直営の居酒屋「兼平鮮魚店」にはよく足を運びました。安くて美味しかったです。

tabelog.com

この他にも、水炊き(華味鶏)、もつ鍋(いろは)、鉄鍋餃子(鉄なべ)、焼き鳥(信秀)など、美味しいお店がたくさんあったので、飲食で散財してしまったって感じですね。

色んな意味で単身赴任者天国とも言える楽しい街でした。

 

 

CCWHの風土や文化が出来上がる

コカ・コーラウエストホールディングス株式会社(CCWH)」は、経営統合後のグループ全体を統括する持ち株会社です。

発足当時は、CCWJ、近畿コカ・コーラ、三笠コカ・コーラの3社はそのまま傘下の事業会社として、コカ・コーラの製造および販売事業を継続することになっていました。

一方、総務、人事、財務、購買、情報システム、CSR、広報そしてマーケティングなど、グループ全体に係る管理や戦略立案の機能は持ち株会社であるCCWHの役割としていました。

このような役割分担の中で、CCWHの社員はCCWJと近畿コカ・コーラから集まった社員で作った部隊でした。

最初の頃は、みんなが背中に出身会社(CCWJや近畿コカ・コーラ)を背負いながら仕事をしていたように感じていましたが、一緒に仕事をしていくと次第にCCWHとしての独自の風土や文化が出来上がってきたように思います。

最初の頃に感じたアウェー感は、誤解だったのではないかと思うほど、知らぬ間に消え去っていました。

ますます働きやすい環境になり、単身赴任が嫌で嫌で仕方なかった最初でしたが、この頃には福岡での生活も良かったなと感じる日々でした。

 

 

「主導権騒動」に辟易

一方、この頃、内部での主導権争いが顕在化してきました。

実際には”争い”が起きたわけではなく、CCWH内での主導権を主張する一部の人の声が目立ち始めていたということです。

 

その声とは

  • CCWJと近畿コカ・コーラとの経営統合は、当時の株式の市場価値から、100:45の比率で行われた。つまり、CCWJの株式価値は近畿コカ・コーラの2倍以上だった。
  • 対外的には、「対等な精神での経営統合」と発表していたが、客観的にはどうみてもCCWJが近畿コカ・コーラを買収したのも同じだった。
  • つまり、CCWJがCCWHグループの主導権を持っており、近畿コカ・コーラの社員たちは、CCWJ出身の俺たちに従うべきだ。

と、このようなものでした。

 

なお、このように奇麗な言葉を並べましたが、当時実際に言われたのは「お前らは買われた会社だ」という露骨で下品な言葉でした。

ちなみに、この言葉を発したのはCCWJの社内労働組合の役員でしたが、今思い出してもアホらしいので、その人のイニシャルを書くことはやめておきます。

また、私は直接的に言われることはありませんでしたが、当時の上席役員クラス(ともにCCWJ出身)にも同様のことを言う人がいたそうです。

もううんざりでした。

 

 

主導権とは何か

なお、ここから述べることは、決してあの時の腹立たしさを解消しようとしているのではなく、「このような嫌がらせに等しいことは良き風土情勢にプラスの作用があるはずなく、むしろマイナスしか生まない」と述べたいからですので、誤解なきようお願いします。

 

さて、彼らが主張する「主導権」とはどういったことを指すのでしょうか。

この言葉を調べてみると「物事を動かしていく時の力や権限のこと」を言うのだそうです。

では、その権限や力は誰に帰属するのでしょうか。

 

仮に、CCWJも近畿コカ・コーラも、そのそれぞれの全株式を保有する“人”(自然人)だとするなら、“人たるCCWJさん”が7割近い議決権を持つオーナーとなります。

したがって、そのCCWJさんがほぼ全ての決定権を持って会社を自由に運営していくことは可能なのでしょう。

しかし、CCWJも近畿コカ・コーラも自然人ではなく法人であり、合わせると数千人の社員がいます。

今後、今後は能力や実績に関係なく、CCWJ出身者が主導権を握る地位に就き続けるのでしょうか。

また、近畿コカ出身者たちは、ずっとCCWJ出身者の言いなりになるべきなのでしょうか。

 

 

経営トップが誰が決める?

CCWH発足時に、CCWJのSYさんがCEOに就任され、近畿コカ・コーラのM社長はナンバーツーのCOOになりました。

これは経営統合の株式比率によって決めたことでもあるでしょうが、SYさんご自身がCEOに相応しいからそうなっただけで、仮に統合時の株式の価値だけを理由にそう決めたのなら、それはSYさんに対して失礼極まりないことです。

 

事実、私はSYさんからも直接の薫陶を受け、学んだことが数多あります。

CEO在任中に多くの功績を残されましたし、経営者として素晴らしい能力をお持ちの方でした。

 

しかし、その後もずっとCCWJ出身者が経営トップを務めるのでしょうか。

当時のCCWHの株主は、The Coca-Cola Companyをはじめ、R社、M社など世界に名だたる企業が揃っていましたが、良識と常識を兼ね備えたこれらの株主たちは、出身母体だけを理由として経営者を選び、経営を委ねるでしょうか。

 

答えはどう考えても「否」でしょう。

 

SYさんがCEOに就任されたのは、その経営者としての能力が認められた必然の結果です。

SYさんのあとの経営トップは、株主にとっての価値を高めてくれる人材を選ぶはずです。

それがCCWJ出身者か、近畿コカ出身者か、また社外から来るのかは株主の判断です。(代表取締役は取締役会で決めますが、取締役は株主総会で決まります。したがって、経営トップを決める際も事前に株主の了解を取っておく必要があることは明らかです)

 

 

権限は職位に帰属し、職位は能力で決まる

先般、日本航空JAL)は旧東亜国内航空出身で元CAの鳥取さんが社長に就任することを発表しました。

東亜国内航空は事実上JALに吸収されたようなものですが、出身はどうであれ、社長に相応しい能力を備えた方が社長に就任するという、誰もが当たり前だと思うことを実現したにすぎません。

このように、能力がある人に、その能力を行使すべきポストが与えられるわけで、出身がどこかなど全く関係の無いことです。

 

とはいえ、当時は悔しい思いをしたことは事実であり、この時のCCWHにおける近畿コカのような立場で経営統合をした会社(上場企業です)に勤めていた社外の友人に上記のこと話したことがありました。

 

すると彼はこう言ってくれました。

「能力が低い人に限ってそんなことを言う。つまり、お前らに自分たちの役割やポストを奪われるのではないかという恐怖感がそう言わせるんだ」

「その人たちに能力があれば、必然的に職位が与えられ、その職位に見合う権限が与えられる。敢えてそんなことを言って敵を作るのはバカがすることだ」

 

そして最後にこうも言いました。

「無視していい。答えは自ずから出る」

この言葉を聞いて、全てがスッキリしました。

 

 

答えは自ずから出た

予想通り、CEOだったSYさんの後任は、近畿コカ・コーラ出身のYさん(私の元上司)でした。

この時、馬鹿な主導権論を述べていた上席執行役員たちは、大勢の社員を前にして「近畿コカ出身のYさんが社長になった。普通なら考えられないこと。当社は出身に拘らずにポストを与える公平な人事をする会社だ」と述べたそうです。

 

これを聞いたその場の社員たちは「負け惜しみを言っている。情けない」としか感じなかったそうです。

なお、Yさんはその後、コカ・コーラウエストコカ・コーライーストジャパンとの経営統合を主導し、現在のコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社(CCBJI)の初代の社長にも就任されました。

 

では、CCBJIが設立されたとき、当該上席役員たちはどうなったか。

それは彼らの名誉のために申し上げることはやめましょう(笑)

私の友人が言った通り「答えは自ずから出た」のです。

 

 

しかしCCWJは人材の宝庫だった

なお、誤解のないように申し上げると、CCWJには優秀な方がたくさんいました。

誠に手前味噌ながら、私は自身の能力にそれなりの自信がありましたが、私より遥かに高い能力を持つ人をたくさん知っています。

私自身、そのことに危機感を覚え、もっと勉強しないといけないと感じたこともありました。

ただ、このような優秀な人たちは、前記のようなバカバカしいこと(主導権のこと)は一切言いませんでした。

 

そうなのです。優秀な人は自分の出身など(加えて言うと学歴も同じですが)全く気に留めないのです。

自分たちに能力があれば、必然的に職位が与えられ、同時にその職位に見合う権限が与えられることを知っていたのです。

友人が言った、この言葉そのままだと思いました。

そして今でも、CCWJの良識ある人たちと一緒に仕事が出来たことは誇りに思っているし、大いに刺激を与えてくれた恩人でもあると思っています。

 


ということで、今回は、自己紹介から外れた話になってしまったことをお詫びします。

ただ、競争に打ち勝つために経営統合をしたのに、内部での無駄な対立を煽り、良き風土醸成の邪魔をしようとした一部の人たちのこの事例を紹介することは、経営コンサルタントの責務の一つだと思いました。

つまり、健全な経営を目指す良識ある経営者および社員の方にこのような馬鹿な真似をしてほしくないということで、ご紹介することにしました。

 

(つづく)